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SNMPのセキュリティホール
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  セキュリティホール


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■デジタル用語辞典:

■ GetRequest/GetNextRequest/SetRequest/Trap ■


前回はSNMP(Simple Network Management Protocol)について、
その必要性を簡単に説明しました。
SNMPというのは、簡単にネットワークを管理する為に必要なプ
ロトコルなのでした。

今回はもう少しだけSNMPについて詳しく解説を行ないます。

SNMPとはどんな事を行なうプロトコルかと言うと、ネットワー
クを管理するコンピュータを1台決めておいて、そのコンピュ
ータから周辺のコンピュータに対してネットワーク管理の為の
さまざまなコマンドを入力できるようにする為のプロトコルで
す。

例えばビルの1階においてあるサーバーを「管理するコンピュ
ータ」と決めます。そして、2階、3階にあるコンピュータを
「管理されるコンピュータ」と決めたとします。

以下に、1階のコンピュータから3階のコンピュータに対して
質問を出している図を示します。


  管理されるコンピュータ
    ┌─────┐
3階  │サーバー3│←─┐
    └─────┘  │
             │
  管理されるコンピュータ│
    ┌─────┐  │
2階  │サーバー2│  │ネットワークにエラー
    └─────┘  │どれ位発生してる?
             │GetRequest
  管理するコンピュータ │GetNextRequest
    ┌─────┐  │
1階  │サーバー1├──┘
    └─────┘


管理するコンピュータが管理されるコンピュータに対してネッ
トワークを通じて質問を出しています。
これを「GetRequest」「GetNextRequest」といいます。

応答は以下の様に返ります。


  管理されるコンピュータ
    ┌─────┐
3階  │サーバー3├──┐
    └─────┘  │
             │
  管理されるコンピュータ│
    ┌─────┐  │
2階  │サーバー2│  │エラーはこの位発生してます。
    └─────┘  │GetResponse
             │
  管理するコンピュータ │
    ┌─────┐  │
1階  │サーバー1│←─┘
    └─────┘

この応答の事を「GetResponse」といいます。
この様に、ネットワークを通じてネットワークの調査が行なえ
ます。

これによりネットワーク管理者がいちいち現場まで赴く必要は
なくなるのです。

また、管理されるコンピュータに設定を行っておくと、自動的
に通知してきたりする事も出来ます。

以下に自動的に通知してもらうように設定している図を示しま
す。


管理されるコンピュータ
  ┌─────┐
  │サーバー3│←─┐
  └─────┘  │
           │
管理されるコンピュータ│
  ┌─────┐  │
  │サーバー2│  │エラーの数が多くなってきたら
  └─────┘  │教えてね。
           │SetRequest
管理するコンピュータ │
  ┌─────┐  │
  │サーバー1├──┘
  └─────┘


これは質問をしているのではなく、設定を行っているだけなの
で「SetRequest」といいます。
これにより、設定された要求に従い、自動的に通知が行なわれ
るようになります。

以下に、ネットワークのエラー数が多くなってきて自動的に通
知が行なわれている図を示します。


管理されるコンピュータ
  ┌─────┐
  │サーバー3├──┐
  └─────┘  │
           │
管理されるコンピュータ│
  ┌─────┐  │
  │サーバー2│  │ネットワークのエラーが
  └─────┘  │多くなってきましたよ。
           │Trap
管理するコンピュータ │
  ┌─────┐  │
  │サーバー1│←─┘
  └─────┘


このように自動的に通知が行なわれる事を「Trap」といいます。

人が移動しなくてもネットワークの管理が行えるうえに、ネッ
トワークに異常が発生しそうになると事前に知らせてくれたり
するので非常に便利です。

この時、「管理するコンピュータ」の事をSNMPの世界では「マ
ネージャ」と呼び、「管理されるコンピュータ」の事を「エー
ジェント」と呼びます。

芸能人のマネージャはスケジュールを管理したりしますよね?
そんな感じでSNMPでもマネージャがネットワークの管理を行っ
ているのです。

また、SNMPで質問が来た時にその質問に回答する為にはさまざ
まなデータを常に収集しておかなければなりません。
(上の例では、ネットワークのエラー数を常に数えておかなけ
ればなりません。)
この常に収集しているデータの事をMIB(Management Informat-
ion Base)といいます。(ミブと読みます。)


先ほどの例では「ネットワークのエラーどれ位発生してる?」
という質問を出しましたが、質問の種類はこれだけではなく、
非常にたくさんあります。

また、質問を出す時には「ネットワークのエラーどれ位発生し
てる?」等と日本語の文字列が送られるわけではありません。
実際には数字が送信されます。
そしてこの数字は抽象構文記法(ASN.1:Abstract Syntax Nota-
tion One)という表現方法が用いられます。

ASN.1(アセン・ワンと言ったりエーエスエヌ・ワンと言った
りします。)とは何かと言うと、さまざまな「情報の構造」を
出来るだけ効率よく表現する為に規定された「表現方法の決ま
り」の事です。

これはSNMPの為だけにあるわけではなく、国際標準化機構
(ISO:International Organization for Standardization)と
国際電気通信連合ITU-T(International Telecommunication
Union Telecommunication sector)という所で決められた規定
です。

例えば、「ネットワークのエラーどれ位発生してる?」という
質問をASN.1で表すと「1.3.6.1.2.1.2.2.1.14.1」となります。
なんだか難しい表現ですが効率よく表現するにはこういう方法
が良い、と頭の良い人たちが考えた結果ですので文句は言わな
いようにしましょう。(^^;

その他にも「あなたのMACアドレス教えて。」とか、「忙しく
て処理出来なかったデータの数教えて。」とか、(これにより
サーバーにどの位負荷がかかっているか知る事が出来る。)
ASN.1で表現出来る種類は大量にあります。

そして実はSNMPのセキュリティホールというのは、主にこのA
SN.1(Abstract Syntax Notation One)の処理に不具合がある事
に原因があります。

次回はASN.1についてもっと詳しく解説します。



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